昨日のブログの最後にもちょろっと触れたのだけど、
「むしろ、こんなときだからこその哲学対話なのか」もしれない。
まだ、そういう段階ではない、とも思うけれど、特に私の住んでいるような地域ではまだ感染者が多くないなかで、不安や差別だけが一人歩きしかねない、と思う。「正しく怖れる」という言葉もあるけれど、そのためにも、safetyな空間を設けて、各自がなにを不安に思うかを話し、聞き合うこと、そして落ち着いて一緒に考えること、はきっとどこかのタイミングで重要になってくると思っている。
今年度後半をふりかえる、こんなときだからこその哲学対話なのか、など - 高専てつがくは発狂する
そしてすばらしい学生さんたちに恵まれて、実際にオンラインでの哲学対話をやってみたので、簡単にふりかえりをまとめておこう。
zoomで哲学対話やってみたいなー、と思っていたら、学生さんのほうから誘ってくれて、その2時間後くらいには数名集まって、やってみれちゃう瞬発力、すき。
— おがぢ⛅ (@ogadi_ogadi) 2020年3月27日
先行する実践より
30人程度の生徒さんとのzoomでの座談会については、上記ブログのまとめが大変すばらしく参考になります。
今回の私の場合は6名程度だったので起きなかった問題にはどんなものがあるか、それにはどんな対応ができそうか、なども丁寧に書かれているほか、「終わりに」のところでは有用なリンクが複数紹介されています。じっくり読んで勉強したいところ。
上記ブログを超えることは到底無理ですが、私なりの感想を以下にまとめます。
始めるまで
勤務校には半年前くらいから活動が始まった「哲学対話愛好会」があるのですが、そのグループLINE上*1で学生さんが午前中に提案してくれて、それに乗った人たちでその日の午後15時には開始する、という大変スピーディーな展開でした。
各所で言われていることですが、zoomはホスト一人はアカウントを持っている必要があるけれど、それ以外のメンバーはアカウントは不要(無料アプリはあったほうがよいはず)なので、時間になったらグループLINE上に貼られたリンクに飛べば始まる、というのは思いの外スムーズでした。
ただ、そこから全員のマイクとスピーカー環境が整うまでは少し時間がかかったかも。学生さんたちはほぼスマホでアクセスしているので、少し使いづらそうだったし、ある学生さんは(おそらく本体端末の設定で)音声が聞こえない時間が長くて、大変そうだった。今回は私+5名の高専生だったけど、全員で話し始められるまでに10分くらいかかったかもしれない。しかし、このあたりは主催者および参加者の慣れの問題だろうという感じはする。
哲学対話をしてみて
進行は主催の学生さんが主にやってくれたので、私は一参加者として思ったことを話しただけだったので、楽しかった。
ちなみにテーマは...
の候補から、「全校集会のLIVE配信」「オンライン授業はできるのか」あたりについて話すことになったので、オンライン配信についてオンラインで話していたことになる。
学校や先生の側のロンリについて説明する必要がありそうだったので、ときどき説明を試みたりした。特に学生会の人がいたからか、「学生総会(生徒総会)でわざわざ集まって、ほとんど誰も真剣に聞かないなか、予算案を示し、なんとなく拍手で承認する、そのプロセスに意味はあるのか」という話が主になっていておもしろかった。民主主義的なプロセスはめんどくさいし、参加者の関心が薄いと無意味にも見える場になってしまうのだ。
よかったこと、イマイチだったこと
90分くらい*2話した後、なんと学生さんたちのほうから、このサービスを使ってみての感想共有も始めてくれた。優秀。
そこで出ていたよかったこと、イマイチだったことをまとめると、
よかったこと
・対面でやる場合の代替品としては使える
・案外、やれる
・挙手ボタンとか、いいよね
イマイチだったこと
・やっぱり対面には劣るかなあ
・特に、話を切り出すタイミングがわかりづらい(いつ話し出せばいいかわからない)
・(スマホだと)カメラで自分を映しながら、画面を操作するのが、使いづらい
・声がところどころ途切れる
という感じ。
私の感想はというと、今回くらいの人数から10人程度までなら結構イケるかも、という感じ。
以下の画像みたいにして、参加者のビデオ画面を一覧できるので、この表示を常にキープしておけば、お互いの表情やあいづち、考えているしぐさなどはかなり把握できるように思うし、話したいときは実際に手を挙げて、それを受けてファシリの人が許可すればいい。
https://zoom.us/docs/image/new/newdemo/monitor-moderncomm_2f6782a.png
今回は気づくのが遅れたので、上記のやり方を徹底できなかったから、次にやるときは最初からそれで試してみたい。
もちろん、哲学対話における身体性(円になって、顔と顔を実際に付き合わせて、物理的に同じ空間で考える) の意義については、zoomで全員の顔が見渡せることで代替可能なのか、という問題はあると思うし、考えてみたい。ただ、以前まではオンライン哲学対話なんて楽しくないよ派だった私*3がこれも楽しいかもね、くらいに変化しつつあることは確かです。
改めて学生さんたちに感謝します。ありがとう。
他方で授業で使うとなると...
ただし、快適な対話が実現するためには、いくつか条件があるかなと思っている。
- なるべくPCから安定した回線をみんなが確保していること(学生さんの自宅環境によっては難しいことも多いだろう)
- ハウリングや遅延がないように各自準備ができること(これも技術的に不慣れな人にとっては難しいだろう。しかも一人でも不慣れな人がいると、どうしても全体に影響が出てしまうのが難しい)
- 極力ビデオ機能もみんなが使うこと(サーバーに負荷がかかって遅延の原因になるかもしれないけど、表情が見えるのは大事だと思った)
この条件は容易にはそろわないので、公式の学校活動(通常授業)ではまだまだやりづらいでしょう。勤務校ではとりあえずオフラインでの通常授業が再開される方針なので、そこで3密を避けつつ、なにができるか、を当面考えていくことになりそうです。
そもそも地方在住組としては...
とはいえ、そもそも地方に在住する者としては、研究会や飲み会に対してオンラインで参加するチャンスを欲していたので、こういう機会にいろいろと試してみたい欲は強いのです。
*1:教員も生徒(学生)とLINEするのか!と思われる方も多いかと思うのですが、私は学校関係専用アカウントを作りました。あとまだ担任するクラスの学生とのやりとりなどはかなり限定的にしか行っていません。ふだんそれほど顔を合わせない人たちとの連絡用。
*2:zoomは無料(かつ3人以上)だと40分までしか使えないのか問題があるらしいのだけど、主催学生さんに聞いたところ、特になにも設定していない無料アカウントだったけど、途切れず120分くらいつなげたとのこと。なお、4月末までは、教育系のアカウントであれば、時間制限が排除されるそう。
【Zoom】遠隔授業向け クラウドビデオ会議サービス「Zoom」 ■学校への提供 ■無料(2020年4月30日まで) | 未来の教室 ~learning innovation~
*3:以前、とあるweb生放送番組で哲学座談会を企画した自分が言うのもどうかと思うけど