高専てつがくは発狂する

「こどもの哲学」(P4C)とそれにまつわるものたちでテキストを書こう。みんなで書こう。これからは日々のことも綴ってみようと思います。

新年度の授業びらきと哲学対話

新年度、初担任についつい気をとられてしまいますが、授業も開始。

 

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勤務校にて。前日の風雨でだいぶ散った。
授業びらきになにをするか

他の教員ブログを見ていても、初回授業には気を使われているのがわかる。

私は、というと、そんなに考え込み、作り込んでいるわけじゃないけれど、それなりに、やはり気にしてはいる。まずそもそも、自分が受け入れてもらえるのか緊張するし、毛糸のボールを作るとか、円になって対話とか、付き合ってくれるのか、ドキドキして教室に入る。

 

今年度も、教員の自己紹介を簡単にして、シラバスをもとに概要を簡単に話したあとは、早速ウォーミングアップと称して40人を超える人たちにイスだけの円になってもらい、コミュニティボールを作った。

作り方の手順は別サイト*1に譲るけれど、今年の私のお題はこんな感じ。

1.名前(あだ名)

2.好きな〇〇とその理由

3. 生きてきて一番びっくりしたこと

この三つを毛糸を巻きながら言ってもらって横に回す。

クラス持ち上がりの二年生たちでも、高専はそんなにお互いに話さない人たちもいるようで、それなりに楽しく全員やってくれていたのかなという感じ。

そして出来上がった3クラス分のボールがこれ。

 

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クラスごとに色が違うので、こちらは忘れがちだけど、学生たちは案外覚えている。

 

 

そして最後に、

1. e-ラーニング利用に向けた電子機器の所持状況(所持していない人にはこちらからタブレットを貸し出す予定)

2. 最近疑問に思っていること

3. 担当教員へのメッセージ 

を書いてもらって、終わり。

これでほぼ90分。初回の授業。

 

ボールづくり、やっぱり楽しい時間なので、HR担任のクラスでこそやりたいのだけど、なかなか時間が取れず5月か6月までできなさそうなのが残念。

 

初哲学対話

二回目の授業でも教科書は開かない。

授業の最大の特徴となる哲学対話について、こちらから少し説明をしたあと、また円を作る。

今年はランダムに4,5人組をつくったあとで、質問ゲームとか相互質問法とか呼んでいるワークをやってみた。

一人の人がお題の問いに意見を言ったあと、残りの人たちが順番にその人の考えを掘り下げるための質問をしていく、というもの。

お題は「てつがくおしゃべりカード」から一人一枚。

てつがくおしゃべりカード (哲学カード)

てつがくおしゃべりカード (哲学カード)

 

一人3分×4,5人なので説明を入れて20分くらい。うまく質問ができない、思いつかない人たち、雑談になるグループもあるけど、なんとか励ましながらやっていただく。

 

それから、哲学対話の問い決め。各グループで自分たちの手元にある4,5枚のカードから1枚、みんなで話してみたいものを選んで、ホワイトボードに書きに来る。出てきた約10個の問いから投票で一つに絞る。そして15分弱、40人で丸くなって対話をしてみる。

挙手を優先するとは言っているけど、なかなかそれだけだどどうにもならないので、「話を聞いてみたい人にはボールを渡してもいいよ」ということは伝えておく。

 

あるクラスは、

 ナメクジを全部やっつけられる?

 という、かなりの変化球に票が集まった。二択なので、まずは意見と理由を言いやすいようで、自分たちでボールを投げ合いながら、発言はしてくれる感じ。途中、私も「やっつけること」と「種の絶滅」みたいな話をして話題をややこしくしてしまったのだけど、それを受けて話してくれた人もいてうれしかった。

また別のクラスは、

一番なぐさめてあげたいのはどんなサッカー選手?

に、票が集まる。発言者は多くなかったけれど、「試合に出場して一生懸命プレーしたけれど、全然活躍できなかった人」と、「大事な試合の前でケガをしてしまった人」という観点が出てきて、そこには努力(自力)と運(偶然)のどっちをなぐさめてあげたいと言えるのか、みたいな観点の対立があることがなんとなく明らかになったような気が(私には)した。

もう一つのクラスは、 

なにも開けられなくてもカギはカギ?

 になったのだけれど、

男子学生の多いにぎやかなクラスで、茶化しあったらもするのだけど、挙手をしてボールを受け取ってくれる人が複数いた。終わり間際、ちょっと沈黙が続いて、もう終わりどきかなと思ったらまただれかが手を挙げて新しい観点を出してくれて、ついつい予定よりも長引かせてしまうほど。

 

最後に10分弱時間をとり、「大福帳」初回のところに、その日の問いについて考えたことや、二回の授業を終えて感じたことを書いてもらう。

これで90分。

 

話しづらさ、質問しづらさ、は何によるのだろう

大福帳の感想をパッと見ても、楽しい、好意的な時間と捉えてくれる人が一方で、話すのが苦手という人にとっては4人組でのワークも「少し辛かった」ようで、申し訳ない気持ちになる。

あるいは、質問したり、されたり、考えたりするのがとても「難しかった」という人も多かった。ふだん、当たり前にしているようで、実はしていないことだから、そうだよね、初回から難しかったね。

 

初回からきつかったり、難しい思いをさせてしまったなあという反省の想いもありつつ、他方で、「私は、(多くの)人と話すのが/考えるのが、苦手なので~」と書いてくれるのだけど、本当にそれはあたなが苦手なことなのだろうか、とも思う。

 

話すことや質問を考えることは、あたな個人の得意不得意では必ずしもなくて、教室や集団のもっている環境の要因もあるのではないのかな。だから、あなた一人がこの授業で「次回はもっと話せるようにがんばります」となるのではなくて、教室全体が<何を言ってもよい>と思える空間になっていくことをみんなで目指していけたら、いいのにな、と思います。

 

ただ、それがいかに難しいことか、もよくわかっているので、絵に描いた餅なのかもしれないけれど、それでも哲学対話のもっている理念のようなものを大事にしようとする限り、空間づくりをみんなでやっていく、という視点は持ち続けていたい。

 

授業でこんな話を伝えてみたいけど、うまく話せるかなあ。。

変えないこと、変えること

「倫理」は半分は基本的に昨年度のものをベースにしてやらせてもらうつもりなのだけど、もう半分は、学校のカリキュラムが変わったこともあり、変更を迫られている。昨年度のものに手を加えたり、課題などを増やしたりする必要があるので、検討しなくちゃいけない。

反転学習のために、学校のe-ラーニングシステムも使いたいので、触ってみて勉強しているところ。

最初は億劫だけど、だれも本格的に使わなければ学校全体への浸透も遅れるのだから、えいや、とやるのだ。